楽天が2017年12月14日、携帯電話事業への参入を発表し、楽天モバイルとして2019年10月1日に先行サービスを開始、2020年4月8日に正式サービスインしました。

 その後続々と基地局を稼働させ、エリアを展開しています。

 楽天モバイルは当初の計画から5年前倒しして、2021年夏には人口カバー率で96%の達成を目指すとしています。

 しかしながら、ゼロからエリア展開することは大変な労力が必要で、残念ながらエリアに穴が生じがちです。

 そこで気になってくるのが基地局の所在場所です。

 私自身も、ある日突然自宅が圏外になり、基地局を探し始めました。

 ツイッターなどを見ると探し方のノウハウがあるにはあるのですが、まとまった情報が無く、試行錯誤の連続でした。

 このページでは、私がネットの海を泳いで見つけた楽天モバイル基地局の探し方をまとめます。

 みなさんの情報提供に感謝いたします。

楽天モバイルの基地局を探そう(初級)

目視で探す

まずは基本。外観から推定する!

全体像は上の写真を参照。(都市部ではビルの上に頭だけある場合もあります。)

一般的なもの 第一世代

楽天モバイルの基地局はアンテナの裏側に機器(RRH)を背負っているのが特徴
よく見ると長いのと短いのがある(上の金具からの突き出し長さが違う)

アンテナがKMW製、RRHがノキア製。単にノキア製と呼ばれがち

一般的なもの 第二世代

背負ってたものを内蔵した。そのため裏側がヒートシンクになっているのが特徴
こちらも長いのと短いのがある(下のケーブル取り付け部に着目)

KMW製。2020年後半から増え始めた。

初期型?

5ch によると第一世代の前にコレがあったらしい。レア。

なお、これを第一世代とし、ノキア製を第二世代、KMW製を第三世代と呼ぶ向きもある。

ピコセル

エリアの補間に使われるピコセル。3階建て以上の建物が密集している路地にありがち。電柱の中間ぐらいの高さについている。

ビル屋上基地局

ビル屋上の基地局は分割して設置されていることがある

その他いろいろ

楽天の資料より抜粋

楽天っぽいけど、他社

裏側に機器がない。ヒートシンクにもなっていない。
2枚目は5chより
楽天の初期型との判別はなかなか難しい

ツイッターより、楽天モバイル基地局バリエーション

電測アプリ

いわゆる「電測アプリ」と呼ばれるアプリで、電波の強さを見ることができる。アンテナピクト(📶)よりも細かい数字で確認できる。

なお、iPhoneではアプリ側から基地局情報を知ることができないため、電測アプリの類が存在しない。基地局沼の方々はAndroid端末を使う。

代表的な電測アプリは Network Cell Info。有料版と、無料版のLite があるが、とりあえずは無料版で十分。


これが右に振れるほど電波が強いので、基地局との距離が近いことが分かる。電波状況を見ながら基地局があると思われる場所に近づいていき、目視で基地局を発見する。

↓Playストアリンク
Network Cell Info Lite

楽天モバイルの基地局を探そう(中級)

次のレベルへ行くために専門用語を少々。

セクタとかセルとか

典型的な基地局は、120度毎に分割して3方向に電波を出している。分割することをセクタ分割、分割されたエリアのことをセルという。
セクタとセルはわりとどっちを選んでも話が通じる。
セクタはアンテナ寄り、セルはエリア寄りのニュアンスがあるような気がする。
英語ではセル(cell)を使いがち。

基地局パラメータ

規格があるにしては名称の揺れが多い。ここでは Network Cell Info の記述を採用する

名称説明
MCC国コード。日本は440と441。
MNC事業者コード。楽天は11 (MCC:440)。
TACエリアコード。県ぐらいの広さだと思う。たぶん。
ECIセルID。セクタ毎に1つ割り当てられる。基本的には変わらないが、変わってしまうことが稀によくある。
eNB基地局コード。ECIを256で割った商
LCIDセルコード。ECIを256で割った余り
PCIハンドオーバーで使うナニカ。意外と変わってしまうことが多い
NIDPCIを3で割った商と余り?
TATA×78[m]ぐらいに基地局があることを示す。取得できない機種もあるっぽい

セルIDから基地局位置を知る

基地局のセクタ毎にセルIDがあるので、セルIDが分かれば基地局の位置を知ることが出来そう。しかし、位置情報は公表されていない。

そこで、携帯電話ユーザの協力を得て、セルIDと基地局位置情報のマッピングを収集しようというプロジェクトがいくつか存在する。

MLS(Mozilla Location Service)

MLS(Mozilla Location Service)
ブラウザのMozillaがやってるサービス。基地局の位置を知りたいというよりも、ブラウザユーザーの位置を知りたいというところから始まっているものと思われる。
このため、位置情報は基地局位置ではなく、セクタがカバーするエリアの中心(cell center)を示す。

ちなみに、Network Cell InfoのMAPタブで表示される基地局位置は、MLSの情報を元に表示されている。

スマホからMLSへデータの貢献をしたい場合は、Mozilla純正の Mozilla Stumbler などのアプリがある。(Network Cell Infoを使っているだけではデータの貢献はできない)

↓Playストアリンク
Mozilla Stumbler
(インストールする前に次の項目を読んでね)

OpenCellid

OpenCellid
こちらもMLSに近い発想で作られたもの。
応用先は把握していない。。。

スマホからOpenCellidへデータの貢献をしたい場合は、Tower Collector などのアプリがある。

↓Playストアリンク
Tower Collector

Tower CollectorはMLSへのデータ貢献もできる。
前項、Mozilla Stumbler が落ちがちなので、 Tower Collector を利用しているユーザーが多いような気がする。

OpenCellid へデータ貢献する際は必ず Access token を取得・設定する必要があり、正直面倒。

Tower Collector に Access token を設定しなくても、MLSにデータ貢献することが可能。
ただできれば、Access token を設定してあげると親切。手間は最初の1回だけだし。

Cellmapper

ズバリ名前の通り、基地局位置をマッピングしようとするサービス。

基地局沼の方々に大人気。

しかし、本来複数個所に分散するeNBが1か所にある前提で設計されているのが欠点。

W-CDMA(3G)の時から光張り出し基地局という物があり、国内キャリアは当然のように使っている。しかし、Cellmapperが作られた国では1つのeNBで1か所で運用しているのかなと思う

↓Playストアリンク
CellMapper(アプリ)

↓収集結果が見れるWebサイト
CellMapper(web) スマホでも見れるが、PCから見た方がいい

Webサイトで1つのセクタがカバーするエリアを表示できるので、同一eNBで複数ある基地局がそれぞれどのあたりにあるか推測することは可能。その点で重宝がられる。

当サイトオリジナル

MLS可視化

MLS(Mozilla Location Service)のデータは公開されているので、楽天モバイル(440-11)のデータを抜き出して地図上に表示してみた。

楽天モバイル基地局マップ(MLS)

楽天モバイルでのLCIDの付け方の法則から、1つの基地局と思われる3セルを推定し、三角形を描く機能を付けた。
十分なデータが収集されていれば、その三角形の中に基地局がある可能性が高い。

MLSのデータは1時間ごとに公表される。当サイトでは毎時15分に取り込み、更新している

マイマップ一覧

有志が楽天モバイルの基地局位置をGoogleマイマップにまとめてくれている。そのマイマップを集め、一覧にした。

楽天モバイル基地局の位置をマイマップで公開されているもの一覧

近隣にマイマップ作成者さんがいれば、自分が発見した基地局を連絡すると喜んでマイマップに反映してくれると思う。

なければぜひ自分でマイマップを作っていただきたい。

楽天モバイル向け電測アプリ

2020年10月下旬に自宅圏外となったことがきっかけで、楽天モバイルの基地局を探すべく技術の無駄遣いをして作ったアプリ。

楽天電測アプリ

楽天モバイル基地局の探し方まとめ

当サイトが推奨する探し方。

・まず、マイマップ一覧から近所の収集状態を見る
・無ければ、MLSやCellmapperの収集状態を見る
・そこにも無ければ、Tower Collector と Cellmapper を動かしながら近所を徘徊し、データー収集する
・MLSやCellmapperのデータが集まったら、基地局位置を推測する
・当サイトの楽天電測アプリなどを活用し、基地局を見つけに行く
・発見出来たら、マイマップに反映させる

楽天モバイルの基地局を探そう(上級)

総務省の電波利用ホームページから、市内の基地局数が分かる。(免許日から概ね2週間前後に反映)
北海道 東北 関東 信越 東海 北陸 近畿 中国 四国 九州 沖縄

ガチで探し始めると近隣の基地局はあらかた把握できて、免許数と発見数が一致してくる。

そのレベルになると、楽天が公表しているエリアマップの拡大予定や、既存の基地局の配置から、次はココに立てるだろうと推測できるようになる。
そして、電波を出してない基地局のコンクリート柱(通称コン柱、あるいは昆虫)を発見してしまう。
さらには、アンテナ装着前のコン柱(俗称「幼虫」)も識別できるようになってしまう。

幼虫にアンテナが付いた、電源が配線された、光回線が配線された、電波吹き始めたなど逐一ツイッターで報告するのが基地局沼の皆さんの活動です。

ツイッターより、楽天モバイル基地局の成長を見守る皆さん

リンク

楽天モバイル 基地局の探し方と基礎知識等まとめ
 @ZSCCli0y6RMxYmU電波屋🔧さんによるTwitterまとめ

基地局の画像 - Wikipedia

ケータイ用語の基礎知識 第67回:セルとは
ケータイ用語の基礎知識 第68回:ハンドオーバーとは

Twitter @RktnCellMap